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Pentax K100D, smc PENTAX-M 1:2.8 28mm

  ・・・

僕たちは結局、梅雨を一緒に過ごすことはなかった。
それから、梅雨は僕の中でどこか現実感がない季節になった。
なにかが抜け落ちてしまったそんな感じ。まるで古い無声映画を意味も分からずただ眺めているような感じだ。

  ・・・

「実はね、僕は存在しないんだよ。」

僕はエアコンの効きがいまひとつ良くないカフェで独り言を言ってみた。
なんとなくそう思ったのだけど、自分でもその意味を図りかねていた。

原稿を書くのに疲れてきていたので、注文したハイネケン(それしかビールがなかったのだ)とナッツが来るまで、少し休むことにした。

外では細かい雨が降り始めていた。
僕は、コンクリート塀の乾いた白い部分が形を変えながら少しずつ小さくなっていくのを観察し、誰もいないテラス席のテーブルに落ちた雨粒がくっついて大きな水滴になっていくところを凝視していた。

「お待たせいたしました。」

僕はハイネケンを運んできてくれた女の子の声でふと我に返った。

ハイネケンを半分くらい一気に飲んでから、ピスタチオの殻を“僕のために”取ったとき、僕はすべてを理解した。
とても単純なことだった。
宇宙はすべて“対”でできていて片方だけでは存在できないのだ。

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コメント

セツナイですね。
対じゃないと存在できない・・・かぁ。
私が存在しているということが片方がどこかにいるということなのかな。

ピスタチオ・・・殻を剥くたびに思い出すかも。

hayano さん、こんばんは。

片割れはこの世界のどこかにきっといるよ。

「今はただ気付かないだけ。
街ですれ違っただけで分かるようになるよ。」(忌野清志郎)

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