
Pentax KM, smc Pentax FA43mmF1.9 Limited, Fujifilm 1600-PR, (クリックすると大きなサイズで表示されます。)
今日は寒い日です。
とてもとても寒い日です。
風邪など引かぬよう、あたたかくしておやすみください。
・・・
その日、僕は夕方に急にできた用事で、大阪のオフィスに行かなくてはならなくなった。
ちょうど、現像液も使い切らないといけないころだったので、モノクローム フィルムを詰めた PENTAX KM をかばんに入れて出かけることにした。
うちの大阪オフィスはオフィス街のど真ん中にあるので、夕方以降は完全に帰宅ラッシュと逆方向になる。
だから、この時間帯の地下鉄はいつもがらがらで、夏休みの校舎のようだ。
谷町四丁目で降りて地上に出ると、外はすっかり真っ暗になっていた。
一つ先の角を曲がればすぐにオフィスだ。
6 番出口の階段を登りきると、突然、周りから現実感が薄れて行くような気がした。
夢を見ながら、これは夢なんだ、と、どこかで気づいている時のような、そんな感じ。
僕はあの夏の日から、時間の手触りがなくなったことに気づいていた。
あの日の前までは、時間にはもっとざらっとした手触りがあった。
今は、ない。
その時間の手触りを思い出そうとして、やめた。
そんなことをしても余計に時間の手触りが遠のくだけだ。
僕は、歩きながら、今、目の前にある仕事を片付けて行くことに集中しよう、と自分に言い聞かせた。
とにかく、目の前の仕事をひとつひとつ片付けて行く。
この仕事が終わったら次の仕事。そして、また次の仕事。
僕はオフィスに向かって歩いた。
高速のナトリウム灯の光が、すっかり葉の落ちた街路樹の隙間から歩道をオレンジ色に照らしていた。
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