ウインディ・レイディ

Pentax KM, smc PENTAX-M 1:2 28mm, Fujifilm S-100
スタジオを出てバンドのメンバーと別れ、いつもの道を車で帰っていた。
もう慣れたが片道100km以上あるから結構大変だ。メンバーが離れているから仕方ないが。
スタジオを出た頃は綺麗な青空が広がっていたのに、最後の山を越えて平野に下りるところに差し掛かった頃には、すっかり空は灰色になっていた。風も少し強くなったようだった。
僕はこの場所を車で通るのが大好きだ。
一気に視界が開けて、平野が一望できる。
空は相変わらず灰色で平野の風景も同じ灰色だったけど、雲の切れ間から差す西日で平野に広がるたくさんの建物がキラキラと反射してクロームメッキのように光っている。
オーディオプレーヤーは次の曲に移り、山下達郎の「ウインディ・レイディ」が流れてきた。
突然、スイッチが切れたように、大切に思ってきたものや、取り返したいと思っていたものが、色を失ったように思えた。ついさっきまで、鮮やかな色を持って明確に存在していたのに。
灰色の空、灰色の建物。キラキラ光る灰色の記憶。
君の記憶はこの灰色に光る風のようだ。
「ウインディ・レイディ」は最後のコーラスにかかっていた。
「僕のウインディ・レイディ。吹き抜ける哀しみを僕にも。」
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