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森とダム。ちゃんとしたデータを調べる、ということ。


Nice にて - Fujifilm Finepix S5 Pro, AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G

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あ、おばちゃん、僕が撮ってるのに気付いちゃった? Bonjour !!

  ・・・

今日は、いつもと違うテイストで。

知らないことや気付いてないことは一杯あるということ、新たに知ったことや気付いたことで生じた疑問点はちゃんとしたデータを調べればわかること、について。

  ・・・

日本学術会議の答申「地球環境・人間生活にかかわる農業および森林の多面的機能の評価について」って、聞いたことある?僕はなかった。
そこに、

「森林には洪水や渇水を緩和し水質を浄化する機能,土砂の流出や崩壊を防ぐ機能,…(中略)… 日本学術会議の試算では年間約 70 兆円 と評価」*1

と書かれていた。
また、ダムの代わりとなる機能の分だけに絞り込んだとしても、水資源貯留と洪水緩和だけで約 15 兆円/年も価値があるそうだ。*1

僕は、ちょっと待てよ、と思った。
じゃあ、ダムなんかに金を使うより、林業に投資したら良いんじゃないの?
どのくらい投資すれば、森林をどの程度増やせるんだろう、と考えて、調べてみた。

入手できたのは2004年の資料*2 だったけど、それでも十分役に立った。
1990年の時点で日本の林業従事者は 11 万人。それが2000年では 6.7 万人となっている。この間、国産材の供給量は、2,937万立方メートルから 1,802立方メートルに減少している。これを従事者数で割ると、267立方メートル/人(1990年)と 269立方メートル/人(2000年)となる。つまり、生産性はほとんど変わらず、従業者数の減少分がそのまま国産材の供給量の減少になっていることがわかる。*2
つまり、この減少分の木材を供給していた森林が、他の用地に転換されていなかった場合、その森林は放置されていることになる。

では、従業者数を元に戻せば国産材の生産が戻るか、というと輸入材との価格差を考えると難しいとなるが、もし、仮に、森林管理の人件費を政府が全額補助する制度を設け、全国で 4万人の林業従事者を増やした(つまり1990 年とほぼ同じ従事者数になる)と仮定してみよう。
完全に 1990 年と同じレベルに戻ったとすると、現在より 60% 多い森林が管理できる。そこまでいかなくても 50% 増えただけとしても、前出の貨幣評価から考えるととんでもない金額になる。

上記の貨幣評価から考えるとダムの代わりとなる機能の分だけを考えても、約 15 兆円の 50% が増えるわけだから、7.5 兆円の効果
それに対して、コストは 1人当たり 年間 700万円とすると、2,800億円。

寿命のある設備であるダムに対する年間予算 約 6,000 億円 (2000年) *3 と比較すると、森林に投資する有効性の高さは際立っているといえる。

しかも、4万人の雇用が創出されるのだ!

もちろん、森林の役割はそれだけではない。
表面侵食防止(28兆円/年)、水質浄化(14兆円/年)、水資源貯留(8.7兆円/年)、表層崩壊防止(8.4兆円/年)、保健・レクリエーション(2.2兆円/年)、二酸化炭素吸収(1.2兆円/年)、化石燃料代替エネルギー(0.2兆円/年)、と幅広い*1

森林ってすごいね。お金かけるなら、こっちにかけようよ。


【出典、参考文献】

*1 日本学術会議答申「地球環境・人間生活にかかわる農業および森林の多面的機能の評価について(答申)」

*2 東京大学大学院農学生命科学研究科、酒井秀夫氏の論文「日本における林業活動と山村の持続的発展」

*3 国総研プロジェクト研究報告 第 4 号


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コメント

今日の天津は寒くて、飲めない白酒飲み過ぎてしまいました。
ロシアにアルコール依存症の人が多い理由が分かるような気がします。
今日のダムの話、明日、シラフでもう1回、読ませて頂きます。

*** タイタス君 ***
まいど!
飲みすぎはよぉないで。飲みすぎは。(関西人は必ず2回言う。)

今日の話は、数字が一杯出てくるので、飲んでると「?」となると思うわ。すんません。

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